2017年2月28日火曜日

審決取消訴訟 特許 平成27(行ケ)10231  知財高裁 無効審判 不成立審決 請求認容

事件番号
事件名
 審決取消請求事件
裁判年月日
 平成29年2月22日
裁判所名
 知的財産高等裁判所第3部
裁判長裁判官 鶴 岡 稔 彦
裁判官 大 西 勝 滋
裁判官 寺 田 利 彦
 
「1 取消事由1(サポート要件に関する判断の誤り)について
(1) 特許法36条6項1号は,特許請求の範囲の記載は「特許を受けようとする発明が発明の詳細な説明に記載したものであること」との要件に適合するものでなければならないと定めている。その趣旨は,発明の詳細な説明に記載していない発明を特許請求の範囲に記載すると,公開されていない発明について独占的,排他的な権利を認めることになり,特許制度の趣旨に反するから,そのような特許請求の範囲を許容しないとしたものである。
 そうすると,特許請求の範囲の記載がサポート要件に適合するか否かは,特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載とを対比し,特許請求の範囲に記載された発明が,①発明の詳細な説明に記載された発明で,②発明の詳細な説明の記載又はその示唆により当業者が当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるか否か,また,その記載や示唆がなくとも当業者が出願時の技術常識に照らし当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるか否かを検討して判断すべきものと解するのが相当である。
 しかるところ,原告は,①請求項1における「ナタネ油あるいはパーム油を含むコート剤にて被覆した」との文言は,コート層の厚み,被覆率等が規定されていない以上,コート剤に含まれるナタネ油あるいはパーム油の量が極小量である構成をも許容していることが明らかであるところ,これらが極小量の場合には,当該ナタネ油あるいはパーム油に起因して本件発明の効果(黒ショウガ成分を経口で摂取した場合にも,黒ショウガ成分に含まれるポリフェノール類の体内への吸収性を高める作用)を奏するとはいえないこと,②「その表面の一部又は全部を…」との文言は,芯材(黒ショウガ成分を含有する粒子)におけるコート剤によって被覆されている部分がごく一部である構成を許容していることが明らかであるところ,例えば,芯材におけるコート剤によって被覆されている部分が全表面積の10%,露出部分が同90%である場合に,「摂取前の黒ショウガ成分の酸化を防止して保存安定性も高め,摂取後の胃液等による変性を防止することができる」(段落【0011】)とする根拠が不明であることの2点を理由に,本件発明は,発明の目的である「ポリフェノール類の体内への吸収性の向上」や「黒ショウガ成分の酸化の防止」を達成し得ない範囲を包含しており,発明の詳細な説明に記載した範囲を超えているのに,本件審決がサポート要件違反を認めなかったのは誤りであると主張するので,以下,この点について検討する(なお,原告は,本件訴訟手続においては,上記主張を予備的主張と位置付けているが,裁判所は当事者が付した主張相互の順序に拘束されるものではないから,この点から判断することについて妨げはないというべきである。)。 ・・・
 
ウ 本件発明の課題
本件明細書の記載(前記ア)によれば,次のとおりである。
(ア) 本件発明は,黒ショウガ成分を含有する組成物に関するものである(段落【0001】)。
(イ) 黒ショウガには有効成分としてポリフェノールが含有されているものの,一般に,ポリフェノールは腸管透過吸収が悪いため,摂取されたポリフェノールの生体内に取り込まれる量は極めて少なく,従来から,その吸収促進のために,吸収促進剤との併用や,腸管から容易に吸収できる程度までに低分子化する方法が示されていたが,これらの方法によっても,ポリフェノールの生体内への吸収性は十分ではなかった。また,植物由来のポリフェノールの構造や性質は植物の種類によって大きく異なるため,他の植物由来のポリフェノールについての吸収性の改善方法を,そのまま黒ショウガに転用することもできない。したがって,本件出願当時,黒ショウガ成分に含まれるポリフェノールの腸管透過吸収を効果的に助ける方法は知られていなかったといえる(段落【0003】~【0005】,【0007】)。
(ウ) 本件発明の課題は,「黒ショウガ成分を経口で摂取した場合においても,含まれるポリフェノール類を効果的に体内に吸収することができる組成物を提供すること」にある(段落【0008】)。 ・・・

(3) 検討
ア 本件発明の課題(前記(2)ウ)を解決する手段として,本件明細書には,次の記載が認められる。
・ 本発明者らは,油脂を含むコート層で,上述の黒ショウガ成分含有コアの表面の一部又は全部を被覆することにより,意外にも,経口で摂取した場合においても,黒ショウガ成分に含まれるポリフェノール類の体内への吸収性が高まることを見出し,本発明を完成するに至った(段落【0009】)。
・ 本発明の組成物は,黒ショウガ成分を含有する粒子と,その表面の一部又は全部を被覆した油脂を含むコート層と,を含む。本発明の組成物は,経口で摂取した場合においても,黒ショウガ成分の体内への吸収性が高い(段落【0014】)。
・ 黒ショウガ成分を含有する粒子表面の一部又は全部を,油脂を含むコート剤にて被覆することにより,経口で摂取した場合においても,特に黒ショウガ成分に含まれるポリフェノール類の体内への吸収性が高まる(段落【0026】)。
 これらの記載からみて,本件明細書には,課題解決手段として,「黒ショウガ成分を含有する粒子(黒ショウガ成分含有コア)」の表面の一部又は全部を,「油脂を含むコート剤(コート層)」で被覆することが記載されているといえる。
 ここで,「一部」とは,「全体の中のある部分。一部分。」(広辞苑〔第六版〕)を意味するものであり,当該部分が全体の中に占める割合の大小までは定められていないことから,本件明細書に記載された課題解決手段には,「黒ショウガ成分を含有する粒子」の表面の僅かな部分を,「油脂を含むコート剤」で被覆することも包含されているといえる(このことは,後記のとおり,本件明細書の記載がコート剤による被覆の量や程度を特に制限していないと解されることからも導かれる。)。
イ そこで,このような僅かな部分を被覆した状態においても,(2)ウに示した本件発明の課題を解決できると当業者が認識できるか否かについて検討する。・・・

(ウ) 以上を前提に本件明細書の実施例(段落【0044】~【0054】,表1及び図1)の記載をみると,実施例1として,パーム油でコートした黒ショウガの根茎の乾燥粉末(黒ショウガ原末)をコーン油と混合して150mg/mLとし,懸濁することにより調製した被験物質(以下「実施例1被験物質」という。),実施例2として,黒ショウガ原末をナタネ油でコートした以外は,実施例1と同様にして調製した被験物質(以下「実施例2被験物質」という。),及び比較例1として,黒ショウガ原末をコーン油と混合して150mg/mLとし,懸濁することにより調製した被験物質(以下「比較例1被験物質」という。)を,それぞれ,6週齢のSD雄性ラットに,10mL/kgとなるように,ゾンデで強制経口投与し,投与の1,4,8時間後(コントロールはブランクとして投与1時間後のみ)に採血して,血中の総ポリフェノール量を測定したところ,実施例1被験物質及び実施例2被験物質を摂取した群の血中ポリフェノール量は,いずれも比較例1被験物質を摂取させたものに比べて高い値を示したことが記載されている。
 ここで,本件明細書の段落【0028】に,「油脂」の具体例として,パーム油,ナタネ油と並んで「とうもろこし」から得られる油脂,すなわち「コーン油」も記載されていることからすれば,上記実施例で用いたコーン油についても,黒ショウガ成分に含まれるポリフェノール類の体内への吸収性を高める効果を期待し得る一方で,上記実施例の結果からは,単にコーン油に混合,懸濁しただけの比較例1被験物質では,そのような効果がないことも認識し得るといえる。したがって,当業者は,本件明細書の実施例の記載から,「黒ショウガ成分を含有する粒子」が,パーム油あるいはナタネ油と混合,懸濁された状態とするのではなく,パーム油あるいはナタネ油により被覆された状態とすることにより,本件発明の課題を解決することができると認識するものと認められる。
(エ) そして,本件出願当時,一般に摂取されたポリフェノールの生体内に取り込まれる量は少ないという技術常識があるにもかかわらず(前記(2)エ),本件発明には,「黒ショウガ成分を含有する粒子」自体に吸収性を高める特段の工夫がなされていない態様が包含されており(前記(ア)),また,「油脂を含むコート剤」にも吸収促進のための成分が含まれていない態様が包含されている(前記(イ))ことからすれば,当業者は,本件発明の課題を解決するためには,パーム油あるいはナタネ油のような油脂を含むコート剤にて被覆することが肝要であると認識するといえる。
 しかし,その一方,ある効果を発揮し得る物質(成分)があったとしても,その量が僅かであれば,その効果を発揮し得ないと考えるのが通常であることからすれば,当業者は,たとえ,「黒ショウガ成分を含有する粒子」の表面を「油脂を含むコート剤」で被覆することにより,本件発明の課題が解決できると認識し得たとしても,その量や程度が不十分である場合には,本件発明の課題を解決することが困難であろうことも予測するといえる。
(オ) ところが,本件明細書においては,実施例1の「パーム油でコートした黒ショウガ原末」の被覆の量や程度について具体的な記載がなされておらず,実施例2についても同様であるから,これらの実施例によってコート剤による被覆の量や程度が不十分である場合においても本件発明の課題を解決できることが示されているとはいえず,ほかにそのような記載や示唆も見当たらない。すなわち,コート剤による被覆の量や程度が不十分である場合には,本件発明の課題を解決することが困難であろうとの当業者の予測を覆すに足りる十分な記載が本件明細書になされているものとは認められないのであり,また,これを補うだけの技術常識が本件出願当時に存在したことを認めるに足りる証拠もない。
 したがって,本件明細書の記載(ないし示唆)はもとより,本件出願当時の技術常識に照らしても,当業者は,「黒ショウガ成分を含有する粒子」の表面の僅かな部分を「油脂を含むコート剤」で被覆した状態が本件発明の課題を解決できると認識することはできないというべきである。
ウ 以上のとおり,本件発明は,黒ショウガ成分を含有する粒子の表面の一部を,ナタネ油あるいはパーム油を含むコート剤にて被覆する態様,すなわち,「黒ショウガ成分を含有する粒子」の表面の僅かな部分を「油脂を含むコート剤」で被覆した態様も包含していると解されるところ,本件明細書の記載(ないし示唆)はもとより,本件出願当時の技術常識に照らしても,当業者は,そのような態様が本件発明の課題を解決できるとまでは認識することはできないというべきである。
 そうすると,本件発明の特許請求の範囲の記載は,いずれも,本件明細書の発明の詳細な説明の記載及び本件出願当時の技術常識に照らして,当業者が,本件明細書に記載された本件発明の課題を解決できると認識できる範囲を超えており,サポート要件に適合しないものというべきである。」
 
【コメント】
 特許の無効審判での不成立審決が逆転で覆された事件です。その理由がサポート要件違反というのですから,多少注目です。
 
 まずは,クレームからです。
 
【請求項1】 黒ショウガ成分を含有する粒子を芯材として,その表面の一部又は全部を,ナタネ油あるいはパーム油を含むコート剤にて被覆したことを特徴とする組成物。
【請求項2】 経口用である請求項1に記載の組成物。
 
 割合とかの数値限定やパラメータもありませんので,かなり広いクレームだということがわかります。
 
 さて,化学分野では,クレームと明細書の齟齬に注意しないといけません。パラメータを多くすると,その多いパラメータに応じた明細書の開示が本当に有るのかという点が裁判では追及されます。また,数値限定についても同じです。
 このようなことは,機械や電気の分野ではほぼ考えられないことです。
 
 というのは,化学分野は,ほんの少しのパラメータや数値限定の違いによって,作用効果が大きく違うからです。 つまり当業者の予測可能性が乏しいわけです。だから,逆に言えば,一見ほんの少しの違いでも進歩性を認められて特許になる可能性はあるわけです。
 
 本件では,クレーム上,表面の僅かな部分を被覆した態様も含むようになっているにも関わらず,そのような態様について明細書での開示が無かったわけです。
 
 とは言え,被告は,「芯材である「黒ショウガ成分を含有する粒子」におけるコート剤によって被覆されている部分がごく一部である態様等,本件明細書の記載や本件出願当時の技術常識からみて,当業者が通常想定しないような極端なケースを挙げてサポート要件違反とすることは,適切な発明の保護が観点からみて不当である旨を主張する。 」と主張し,こちらも気持ちはわかります。
 
 ただ,クレーム上,僅かな被覆も含む文言であり,他方明細書にはそれに対応する記載が無かったのですから致し方ないとしか言いようがありません。「一部」 という文言については,どの程度の一部ならば,作用効果を奏するのか,その点を実験等で確かめてから出願した方が良かったのでしょうね。でも,それは今だからこそ言えるものであり,出願を焦る出願時にそこまで要求するのは酷なことが多いと思います。次回はしくじらないと思いますので,失敗を次に活かせば良いのではないかと思います。
 
 ところで,本件は無効審判に戻るということになりますので,あとは,クレームの「一部」を削除する訂正で,もしかすると生き残るかもしれません。


2017年2月9日木曜日

侵害訴訟 商標 平成28(ワ)17092 東京地裁 請求棄却

事件名
 損害賠償等請求事件
裁判年月日
 平成29年1月26日
裁判所名
 東京地方裁判所民事第46部
裁判長裁判官 長谷川 浩 二
裁判官 萩原孝基
裁判官 中嶋邦人
 
「 原告商標1との類否につき検討する。
ア 原告商標1は,赤系統の色のゴシック体様の漢字「赤帽」を横書きしたものであり,その構成から「あかぼう」の称呼及び「赤い帽子」との観念が生じる。また,「赤帽」の語は,駅で乗降客の手荷物を運ぶ者その他運搬人(ポーター)を指す普通名詞であるので,「運搬人」といった観念も生じると認められる(乙9,10)。
イ 被告標章1は,別紙被告標章目録記載1のとおり,図形部分と文字部分から構成されており,図形部分は,直立して両手で荷物を捧げ持つ舞妓姿の女性の正面像を示す図形(以下「舞妓の図形」という。)が中央に大きく配置され,その右上方に小さく五重塔の図形が配置されている。文字部分は,舞妓の形の下部に配置されており,左端に左右2列に分けて縦書きに記載した「株式会社」の文字と,その右側に,これより大きな,同一の書体の漢字で等間隔に横書きに記載した「京都赤帽」の文字から成る。文字部分は,横幅は図形部分の2倍程度あるが,高さは図形部分の5分の1程度である。被告標章1は,中央に大きく描かれた舞妓の図形から「まいこのマーク」という称呼及び「舞妓に関係するもの」といった観念を生じさせる。また,その文字部分の全体から「かぶしきがいしゃきょうとあかぼう」,うち大きい字の部分から「きょうとあかぼう」の称呼及び「京都の赤い帽子」との観念が生じるほか,上記普通名詞が含まれることにより「手荷物を運搬する京都の会社」といった観念が生じ得る。
ウ 以上に基づき,原告商標1と被告標章1の類否についてみるに,これらを全体的に観察した場合には,外観,称呼及び観念がいずれも大きく相違する。また,被告標章1のうちその構成上その余の部分と識別可能な「京都赤帽」との文字部分のみをみた場合でも,原告商標1とは「京都」の有無並びに文字数(2字か4字か)及び音数(4音か7音か)が異なっており,外観,称呼及び観念共に明確に区別し得ると解される。さらに,原告商標1と被告標章1は,被告標章1に「赤帽」の文字が含まれることから称呼等の一部に共通点があるが,被告標章1の構成上この2字のみに着目することは困難と解される上,「赤帽」の語は前記意味を有する普通名詞であることに照らすと,上記共通点を類否の判断において重視することは相当でない(なお,原告商標1が周知であるとの原告の主張については後述する。)。
 これに加えて,取引の実情をみるに,本件の証拠上,被告標章1の使用により原告と被告の提供する役務の間に出所の混同ないしそのおそれが生じていること,例えば,原告商標1の指定役務の需要者において,地名と「赤帽」の語を組み合わせた名称が原告(その組合員を含む。以下同じ。)の提供する役務を示すものとして広く認識されていること,被告の提供する役務が「あかぼう」と略称されていること,原告が舞妓を想起させる図形を被告による使用開始前から用いていることなどの事情はうかがわれない。
 以上によれば,原告商標1と被告標章1は類似しないと判断するのが相当である。
エ これに対し,原告は,被告標章1のうち「赤帽」以外の部分が識別力を有しないこと,原告商標1が周知であることを理由に,「赤帽」の部分が被告標章1の要部であり,これが原告商標1と同一であるので,被告標章1は原告商標1に類似する旨主張する。
 そこで判断するに,被告標章1の構成は前記イのとおりであり,「赤帽」の文字は「京都赤帽」という一連表記された文字列の一部に存するにとどまる一方,舞妓の図形が中央上部に大きく配置されており,これが被告標章1に接する者の注意を引くことに照らすと,被告標章1のうち「赤帽」の部分のみが識別力を有し,その余の部分から出所識別機能としての称呼又は観念が生じないとは認められない。
 また,原告商標1の周知性を裏付ける証拠として原告が提出するのは,昭和52年~56年の新聞記事(甲53~59,60の1),原告作成の機関誌等(甲60の2~5)のほか,一部(平成20年発行のサンデー毎日。甲68)を除いては広く頒布されているか定かでない雑誌の記事等や放映地域が限られたテレビ報道等(甲70~75,78,79),専ら子供向けと解される書籍又は玩具(甲69の1及び2,76,77)にとど
まる。さらに,これらの証拠上も,原告が常に「赤帽」と略称されるのではなく,「Akabou」,「あかぼう」等の表示も用いられていることが認められる。そうすると,「赤帽」の表示が原告の提供する役務を示すものとして原告商標1の指定役務の取引者又は需要者に広く認識されていると認めるに足りないから,被告標章1のうち「赤帽」の部分が役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与えると解することは困難である。
 したがって,本件において被告標章1の構成から「赤帽」の部分を抽出してこの部分だけを原告商標1と比較して商標の類否を判断することは相当でなく(最高裁平成20年9月8日判決・裁判集民事228号561頁参照),原告の上記主張を採用することはできない。」

【コメント】
 商標権侵害の件です。赤帽の事件ですが,ここで扱うのは2回めですね。
 前の事件はこちらです。
 
 さて,前の事件は,今回の原告が原告の赤帽商標,
 
について,被告の登録商標
 
と混同を生じるおそれがあるから(4条1項15号),無効だ!と主張し,これが認められた行政訴訟です。
  
 他方,本件は,上記の商標が似ているか似ていないか判断した民事訴訟です。なので,結論が違っていてもいいと言えばいいのですが,類似の本質は誤認混同ですので,何か釈然としません。
 
 知財高裁の方は,「赤帽」が著名であり,しかも,被告の商標は,赤帽部分を分離して認識できるとして, 4条1項15号該当としました。

 ところが,本件は,赤帽部分を分離しちゃダメだし,舞妓さんの絵もあるし,全然違う,しかも「赤帽」は周知じゃない!と,まるで真逆の判断をしたわけです。
 
 ちょっとこれは,原告としても収まらないと思います。知財高裁で1部に係属すると逆転もあり得る所だと思います。