2017年7月12日水曜日

侵害訴訟 特許権 平成29(ネ)10034  知財高裁 控訴棄却

事件番号
事件名
 特許権侵害差止請求控訴事件
裁判年月日
 平成29年7月11日
裁判所名
 知的財産高等裁判所第4部 
裁判長裁判官        髙  部      眞  規  子  
裁判官        古 河      謙  一 
裁判官        関  根      澄  子

「・・・このような本件各発明の目的・効果に鑑みると,本件各発明の「緩衝剤」は,乙3発明において生成される上記不純物の量に比して少ない量の不純物しか生成されないように作用するものでなければならない。しかしながら,オキサリプラチン水溶液中のオキサリプラチンの分解により平衡状態に達するまで自然に生成される解離シュウ酸は,乙3発明において当然に存在するものであり,このような解離シュウ酸のみでは,乙3発明に比して少ない量の不純物しか生成し得ないように作用することは,通常考え難いことといえる。
 仮に,本件各発明の「緩衝剤」に解離シュウ酸を含むと解すると,乙3発明と同様の組成物が本件各発明に含まれることになり,上記の本件各発明の目的・効果と整合的に解釈することができないことになる。
オ  以上のとおり,本件明細書における「緩衝剤」の定義及び実施例についての記載並びに本件各発明の目的・効果との関係に照らし,本件各発明における「緩衝剤」としての「シュウ酸」は,解離シュウ酸を含むものではなく,添加シュウ酸に限られると解すべきである。 」

【コメント】
 例のオキサリプラチンの特許(特許第4430229号)の事件,アグレッシブな原告さんのやつです。


 クレームももういいでしょう。このブログの過去の記事(http://chizaihanketu.blogspot.jp/2016/12/2729001.html)を見てください。 
 また,規範もあてはめも,原審引き継ぎ~という感じですから,これももういいでしょう。

 ということで,またまとめておきましょう。

 あと何件この関係事件を紹介するのだろうなあ。

1  平成27()12416   46部 被告1  差し止めのみ 請求認容 原告寄りクレーム解釈
2  平成27()28849  29部 被告12 差し止めのみ 請求棄却 被告寄りクレーム解釈
3  平成28()15355   29部 被告1  賠償請求のみ 請求棄却 被告寄りクレーム解釈
4  平成27()28468    40部 被告2  差し止めのみ 請求棄却 被告寄りクレーム解釈
5  平成27()12415    40部 被告3  差し止めのみ 請求棄却 被告寄りクレーム解釈
6  平成27()28699等 40部 被告4~6 差し止めのみ 請求棄却 被告寄りクレーム解釈
7  平成27()29001   47部 被告7  差し止めのみ 請求棄却 被告寄りクレーム解釈
8  平成27()29158    40部 被告8  差し止めのみ 請求棄却 被告寄りクレーム解釈
9  平成28()10031   知財高裁3部 被告1 請求棄却 被告寄りクレーム解釈  1の控訴審 
10  平成27()28467   46部 被告9  差し止めのみ 請求棄却 進歩性なし
11 平成27()28698  46部 被告10 差し止めのみ 請求棄却 進歩性なし
12 平成27()29159   46部 被告11 差し止めのみ 請求棄却 進歩性なし
13 平成27(行ケ)10167 知財高裁3部 不成立審決の取消し
14  平成28()10103   知財高裁2部 被告12 控訴棄却 被告寄りクレーム解釈  2の控訴審
15  平成28()10111   知財高裁2部 被告2 控訴棄却 被告寄りクレーム解釈  4の控訴審
16  平成29(ネ)10008 知財高裁2部 被告8 控訴棄却 被告寄りクレーム解釈  8の控訴審
17  平成29(ネ)10010 知財高裁2部 被告4~6 控訴棄却 被告寄りクレーム解釈  6の控訴審
18  平成29(ネ)10013 知財高裁4部 被告7 控訴棄却 被告寄りクレーム解釈  7の控訴審
19  平成29(ネ)10034 知財高裁4部 被告11 控訴棄却 被告寄りクレーム解釈  12の控訴審