2017年9月26日火曜日

審決取消訴訟 特許 平成29(行ケ)10001  拒絶審決 請求認容

事件名
 審決取消請求事件
裁判年月日
 平成29年9月19日
裁判所名
 知的財産高等裁判所所第4部 
裁判長裁判官          髙      部      眞  規  子 
裁判官          山      門              優
裁判官          片      瀬              亮
 
「 ⑴  本件補正発明の「基礎体」の意義
ア  特許請求の範囲の記載
 本件補正発明の特許請求の範囲には,本件補正発明の「基礎体」とは,「支柱の下端部を固定する鋼製基礎」を構成するものであること,「支柱」と「締付部材により締め付け固定され」ること,「地中に埋設されること」及び「支柱」が「貫通して先端部分が地中に突出している」こと,並びに「上下に貫通した筒状」のものであることが記載されている。
 そうすると,特許請求の範囲の記載には,「基礎体」とは,「地中に埋設」され,別の部材である「締付部材」により「支柱」を固定し,また,「支柱の下端部を固定する」,「上下に貫通した筒状」の部材であるという程度の特定しかない。
イ  本願明細書の記載
(ア)  本件補正発明においては,鋼製基礎が上下に貫通した筒状の基礎体から構成されるから,設置する基礎体の数を増やすことにより設置面積を増加させることなく鋼製基礎の抵抗面積を増やすことができるとされている(【0008】)。このように,鋼製基礎を構成する基礎体の機能として,抵抗面積を増やすことが着目されているところ,【図1】によれば,ここにいう抵抗とは,基礎体が地盤と接触することにより,地盤からの抵抗を受けることを意味することは明らかである。また,基礎体が地盤からの抵抗を受けるのは,その反対の力である支柱の荷重を基礎体が地盤に伝えているからである。そうすると,基礎体は,支柱の荷重を地盤に伝え,地盤から抵抗を受ける部材であるということができる。
 また,本願明細書においても,「基礎体と支柱とは,締付部材により締め付け固定されているので,基礎体の着脱が容易である」,「基礎体4と支柱2とは,ボルトとナットにより締め付けるバンド5により固定さる」と記載され(【0008】【0016】),「基礎体」と,「基礎体」と支柱を固定する締付部材とは,区別して記載されている。 
(イ)  したがって,特許請求の範囲の記載に加え,本願明細書の記載も併せて考慮すれば,「基礎体」とは,「地中に埋設」され,別の部材である「締付部材」により「支柱」を固定し,支柱の荷重を地盤に伝え,地盤から抵抗を受けることにより,「支柱の下端部を固定する」,「上下に貫通した筒状」の部材という意義を有するものと解される。
ウ  用語の一般的意義
 本件補正発明は,円形鋼管や角鋼管を使用した鋼管ポール及びその設置方法に関するものであるところ(【0001】),土木・建築の分野において「基礎」とは,「上部構造物の荷重を地盤に伝えるための工作物」(甲15),「柱,壁,土台およびつかなどからの荷重を地盤または地業に伝えるために設ける構造部分」(甲16)を意味する。
 このように,基礎という用語は,上部構造物の荷重を地盤に伝える工作物や構造部分という一般的意義を有するものとされている。
 したがって,本件補正発明の「基礎体」を,前記イ(イ)のとおり解することは,基礎という用語の一般的意義にも沿うものである。
エ  「基礎体」の意義
 よって,本件補正発明の「基礎体」とは,「地中に埋設」され,別の部材である「締付部材」により「支柱」を固定し,支柱の荷重を地盤に伝え,地盤から抵抗を受けることにより,「支柱の下端部を固定する」,「上下に貫通した筒状」の部材という意義を有するものと認められる。
⑵  引用発明の「支持基礎」
ア  引用発明の「支持基礎」は,「土中に埋込んで柱状物を支持する」ものであって,「ベースの中央部にパイプを溶接で強固に突設し,平板状の羽根をベースのパイプ取付面の四隅に配設し,羽根の一辺をパイプ側面と固着させ」たものであるから,「ベース」,「パイプ」及び「平板状の羽根」から構成される。
 そこで,引用発明の「ベース」,「パイプ」及び「平板状の羽根」のうち,本件補正発明の「基礎体」,すなわち,別の部材である「締付部材」により「支柱」を固定し,支柱の荷重を地盤に伝え,地盤から抵抗を受けることにより,「支柱の下端部を固定する」,「上下に貫通した筒状」の部材に相当する部分は,いずれかについて検討する。
イ  「ベース」及び「平板状の羽根」について
 引用例には,「横方向の土圧を受ける平板状の羽根をベースに立設すると共に一辺をパイプに固着して,支持基礎の底面部,正面部,側面部の投影面積をコンクリートブロックのそれぞれの部分に略同じくした場合この支持基礎を埋込むにはコンクリートブロック埋込み時と同じ大きさの穴を堀り,埋込み後は堀り出した土をリブ間等にほとんど埋戻して土中にしっかり固定させる。この支持基礎は横方向の投影面積がコンクリートブロックと同一寸法であるので横方向の荷重に対する反力は同一となる。又,リブ間には土を埋戻す為,支持基礎の重量が軽いにも拘らず埋戻した土の重量で引抜き力に対する抵抗力も充分大きなものとなる。」と記載されている(4頁8行~5頁3行)。
 同記載によれば,引用発明の「ベース」は埋め戻した土の重量で引抜き力に対する抵抗力を発揮する部分であり,「ベース」において支柱の引抜き力が地盤にかかることが前提になっており,また,「平板状の羽根」は横方向の荷重に対する反力を発揮する部分であり,「平板状の羽根」には支柱の横方向の荷重が地盤にかかることが前提になっていると認められる。
 したがって,引用発明の「ベース」及び「平板状の羽根」は,少なくとも,支柱の荷重を地盤に伝え,地盤から抵抗を受ける部材である。
ウ  「パイプ」について
 引用例には,「パイプ」について,「柱状物を挿入するパイプ」(実用新案登録請求の範囲,3頁15行~16行),「パイプ(2)に柱(7)を挿入し,パイプ(2)との隙間に砂(8)を詰め込んで固定する。」(6頁18行~7頁2行)と,支柱を固定することが記載されるにとどまり,地盤との関係については記載されていない。
 また,引用例には,「パイプ」について,支柱を固定する旨記載されているところ,「パイプ」と,「ベース」及び「平板状の羽根」との関係について,「平板状の羽根を前記ベースのパイプ取付面に立設すると共に羽根の一辺をパイプ側面に固着し」,「正方形のベースの中央部にパイプを溶接し」などと記載されているから(3頁17行~4頁1行,同頁8行~10行,6頁5行~8行),「パイプ」は,支柱の荷重を地盤に伝え,地盤から抵抗を受ける部材である「ベース」及び「平板状の羽根」に固着,溶接されて,支柱を固定するものということができる。
 そうすると,引用発明の「パイプ」は,支柱の荷重を地盤に伝え,地盤から抵抗を受ける部材に相当するということはできない。
エ  さらに,引用例には「本考案では,柱状物構造の支持部と土中での支圧部を」「お互いに連続しているが別形状とし」たと記載され(4頁5行~8行),「支持基礎」における「土中での支圧部」と「柱状物構造の支持部」とが互いに区別されている。
 このことは,引用発明の「ベース」及び「平板状の羽根」を,支柱の荷重を地盤に伝え,地盤から抵抗を受ける部材に相当し,「パイプ」をこのような部材に相当しないと区別して解することと整合するものである。
⑶  本件補正発明と引用発明との対比
 引用発明の「柱状物」「柱先端部」「柱状物構造」は,それぞれ,本件補正発明の「支柱」「先端部分」「鋼管ポール」に相当する。また,引用発明の「炭素鋼を使用し」「柱状物を支持する支持基礎」は,本件補正発明の「前記支柱の下端部を固定する鋼製基礎」に相当する。
 そして,前記検討によれば,引用発明の「ベース」及び「平板状の羽根」は,別の部材により「支柱」を固定し,支柱の荷重を地盤に伝え,地盤から抵抗を受けることにより,「支柱の下端部を固定する」部材であって,引用発明の,「ベースのパイプの取付部に貫通穴を設けることにより,柱状物は,柱先端部が」「ベースを貫通して土中に突出している」構成は,本件補正発明の「前記支柱は前記基礎体を貫通して先端部分が地中に突出していること」に相当し,引用発明の「土中に埋込んで」は,本件補正発明の「地中に埋設され」に相当し,さらに,これらによれば,引用発明の「ベース」及び「平板状の羽根」は,本件補正発明の「基礎体」に相当する。一方,「パイプ」が,本件補正発明の「基礎体」に相当するということはできない。
 したがって,本件補正発明と引用発明とは,「支柱と,前記支柱の下端部を固定する鋼製基礎とを有する鋼管ポールであって,前記鋼製基礎は基礎体から構成され,前記基礎体は地中に埋設され,前記支柱は前記基礎体を貫通して先端部分が地中に突出している鋼管ポール」である点で一致し,相違点1及び2(前記第2の3(2)イ(イ)及び(ウ))のほか,以下の点で相違する(原告主張に係る相違点3に同じ)。
 「基礎体」に関して,本件補正発明は「上下に貫通した筒状」であるのに対し,引用発明は「中央部にパイプを溶接で強固に突設し」た「ベース」と当該「ベースのパイプ取付面の四隅に配設し」た「平板状の羽根」とからなる点。 
⑷  相違点3の容易想到性  相違点3に係る本件補正発明の構成は,引用例,周知例1及び周知例2のいずれにも記載されていないし,示唆もされていないから,これらに基づいて,当業者が容易に想到することができたということはできない。 」

【コメント】
 信号のポールに関する発明についての,拒絶審決(進歩性なし)に対する審決取消訴訟の事件です。
 
 最近,私の興味が主として構成要件該当性になっておりますので,進歩性の論点で紹介するのは珍しくなっているかもしれません。
 
 さて,クレームからです。
 
【請求項1】灯具,信号機,標識,アンテナなどの装柱物を支持する支柱と,前記支柱の下端部を固定する鋼製基礎とを有する鋼管ポールであって,前記鋼製基礎は上下に貫通した筒状の基礎体から構成され,前記基礎体と前記支柱とは締付部材により締め付け固定され,前記基礎体は地中に埋設され,前記支柱は前記基礎体を貫通して先端部分が地中に突出していることを特徴とする鋼管ポール。
 
 結構簡単なクレームですが,図がないと分かりにくいです。
 
 
 上の図1が全体の発明で,下の図3が問題の基礎体です。
 こういう感じで鋼板をブロック状にしたもので,上下に貫通しています。これらの凹部でパイプを挟み込むんで固定し,ブロック状の貫通部に土を入れて地面下に固定するということになります。

 これで分かりましたかな。

 他方,引用発明です。
 
 ポイントとなる,基礎体に当たる所だけです。
 
 で,一致点・相違点です。
 
(ア)  一致点
 支柱と,前記支柱の下端部を固定する鋼製基礎とを有する鋼管ポールであって,前記鋼製基礎は上下に貫通した筒状の基礎体から構成され,前記基礎体は地中に埋設され,前記支柱は前記基礎体を貫通して先端部分が地中に突出している鋼管ポール。
  (イ)  相違点1
  「支柱」に関して,本件補正発明は,「灯具,信号機,標識,アンテナなどの装柱物を支持する支柱」であるのに対し,引用発明は,「安全柵,ポール,案内用のロープ張り,その他簡易車庫等構造物」の「支柱(柱状物)」である点。
  (ウ)  相違点2
  「支柱」及び「基礎体」に関して,本件補正発明は,「基礎体」と「支柱」とは「締付部材により締め付け固定され」るのに対し,引用発明には,その特定がない点。

 上記の判旨のとおり,ここまではいいとして,原告が納得いかなかったのは,構造が違うので,機能もちょっと違うのではないか?という点です。
 
 引用発明の基礎体は,羽根のようになっております。そして,羽根を囲う鋼材はありません。なので,貫通しているとも言い難くなっております。 

 とすると,この部分は相違点を看過したのではないか~ということになり,そして,その相違点がどこにも示されていないので,進歩性あり!となったわけです。
 
 単純な発明であっても,丹念に見ていかないといけないということです。
 
 


2017年9月25日月曜日

審決取消訴訟 商標 平成29(行ケ)10049  知財高裁 拒絶審決 請求認容

事件番号
事件名
 審決取消請求事件
裁判年月日
 平成29年9月14日
裁判所名
 知的財産高等裁判所第2部 
裁判長裁判官     森              義      之 
 裁判官    永      田      早      苗 
 裁判官    古      庄              研  

「 2  判断
    (1)  前記1(3),(8)のとおり,「アドバンス助産師」認証制度は,既に助産師資格を持つ者であって,一定の助産実践能力を有する者を「アドバンス助産師」と認証するものであるところ,原告は,「アドバンス助産師」を認証する団体であることから,本願商標の出願をしたものである。そうすると,本願商標は,助産師でない者を「助産師」と称するために出願されたものではないから,本願商標が登録されたからといって,保助看法42条の3第2項の規定に違反する事態が発生するおそれがあるということはできない。
(2)  本願商標のうち「Advanced  Midwife」の文字部分の「Advanced」,「Midwife」の各欧文字は,「上級の」,「助産師」をそれぞれ意味する英語である(乙3,4)から,「Advanced  Midwife」の欧文字部分からは,「上級の助産師」の意味が生じるものと認められる。また,本願商標のうち,「アドバンス助産師」の文字部分からは,「上級の助産師」という意味が生じるものと認められる。 
 そうすると,本願商標は,「上級の助産師」の意味が生じる語を日本語表記及び英語表記で表示したものであって,本願商標全体としても,「上級の助産師」の意味を生じるということができる。
 ところで,①前記1(3)のとおり,「アドバンス助産師」制度は,助産関連5団体によって創設されたもので,「アドバンス助産師」を認証するための指標は,公益社団法人日本看護協会が開発したものであるから,その専門的知見が反映されているものと推認されること,②前記1(1),(2)のとおり,原告は,専門職大学院の評価事業のほか,助産師養成機関や助産所の第三者評価事業を行っており,助産分野の評価を適切に行えるものと推認されること,③前記1(6)のとおり,「アドバンス助産師数」は,厚生労働省により周産期医療体制の現状把握のための指標例とされていること,以上の事実からすると,「アドバンス助産師」認証制度は,一定程度の高い助産実践能力を有する者を適切に認証する制度であると評価されるべきものと認められる。また,前記1(3),(5)のとおり,「アドバンス助産師」認証制度は,平成27年から実施され,既に1万人を超える「アドバンス助産師」が存在すること,前記1(7)のとおり,各病院において,ウェブサイトに「アドバンス助産師」の認証を受けた助産師が存在することを記載し,充実した周産期医療を提供できることを広報していることからすると,「アドバンス助産師」は,国家資格である助産師資格を有する者のうち,一定程度の高い助産実践能力を持つ者を示すものであることが,相当程度認知されているものと認められる。
 そうすると,本願商標に接する取引者,需要者は,「アドバンス助産師」を,助産師のうち,一定程度の高い助産実践能力を持つ者であると認識するということができるところ,その認識自体は,決して誤ったものであるということはない。
(3)  国家資格の中には,知識や技能の難易度等に応じて,同種の資格の中で段階的にレベル分けされているものがあることが認められる(乙21~28)が,上級の資格を「アドバンス」と称する国家資格があるとは認められないこと(甲28参照)や前記のとおり「アドバンス助産師」制度が相当程度認知されていることからすると,「アドバンス助産師」が「助産師」とは異なる国家資格であると認識されるとは認められないし,仮に,そのように認識されることがあったとしても,以上の(1),(2)で述べたところからすると,本願商標が国家資格等の制度に対する社会的信用を失わせる「公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標」ということはできない。
(4)  したがって,本願商標が「公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標」(商標法4条1項7号)に当たるということはできない。 」

【コメント】
 商標の拒絶査定不服審判の拒絶審決に対する審決取消訴訟の事件です。

 商標は,「Advanced  Midwife  アドバンス助産師」の標準文字です。
 指定役務等は, 第35類「市場調査又は分析,助産師のあっせん,助産師のための求人情報の提供」,第41類「セミナーの企画・運営又は開催,電子出版物の提供,図書及び記録の供覧,図書の貸与,書籍の制作,教育・文化・娯楽・スポーツ用ビデオの制作(映画・放送番組・広告用のものを除く。),興行の企画・運営又は開催(映画・演芸・演劇・音楽の演奏の興行及びスポーツ・競馬・競輪・競艇・小型自動車競走の興行に関するものを除く。),映画・演芸・演劇・音楽又は教育研修のための施設の提供」,第44類「助産,医業,医療情報の提供,健康診断,調剤,栄養の指導,介護,医療看護その他の医業」及び第45類「乳幼児の保育」です。

 それで,論点が4条1項7号の公序良俗違反となると,審決の判断も一理あるような気もします。
その構成中,「助産師」の文字は,保健師助産師看護師法(以下,「保助看法」という。)3条に規定される国家資格の名称であり,同法42条の3第2項において,「助産師でない者は,助産師又はこれに紛らわしい名称を使用してはならない。」と,名称の使用について規定されているから,その資格を得ることができない請求人(原告)が,「助産師」の文字を有し,「上級の助産師」の意味合いが想起される本願商標を,その指定役務に使用することは,上記保助看法42条の3第2項の規定に抵触するおそれがあり,かつ,本願商標に接する取引者,需要者は,その構成中の「アドバンス助産師」の文字を捉え,国家資格である「助産師」の上級の国家資格であるかのごとく誤信する場合があるものといえる。 
  ところで,国家資格に係る規定は,国家が,公共の福祉その他政策上の目的のために,国民の職業選択の自由を制限してでも,一定の能力を有すると判定された者に限って一定の地位又は権限を付与する必要があると認めて法令をもってそのように定めたものである。したがって,国家資格と誤信されるおそれのある商標を登録し役務に使用することは,これに接する一般世人において,国家資格である「助産師」の制度に対する社会的信頼を失わせ,ひいては公の秩序を害するおそれがあるものといえる。
」 

 こういう関係で,この業界で有名なのは,「特許管理士」事件です。
 弁理士会との仁義なき戦いの末,弁理士会が望んだとおり,「特許管理士」は公序良俗違反として,商標が無効に確定したわけです。
 ですので,こういう話を聞くと,審決の方が正しいのでは?と思いがちなのですが,こういう事情がありました。
 「原告は,平成27年度より「アドバンス助産師」の認証業務を運営している。原告は,助産師資格保有者による公共的な性格を有する職能団体であり,助産関連5団体(原告,公益社団法人日本看護協会,公益社団法人日本助産師会,一般社団法人日本助産学会,公益社団法人全国助産師教育協議会。以下,「助産関連5団体」という。)が制定した認証要件(一定の実務経験,助産能力についての要件)を充たす助産師資格保有者に対してのみ,「アドバンス助産師」の認証を行っている。原告が実施する研修等は,助産関連5団体が定めた上記認証要件に即した内容である。
 したがって,原告が,アドバンス助産師認証業務を運営することにより,助産師資格に対する社会的信頼が害されることは想定できない。また,実際に「アドバンス助産師」という認証名を用いているのは,国家資格である助産師を保有する者であるため,周産期医療の利用者による国家資格である助産師に対する信頼が害されることもない。
  」

 全く無知というのは恐ろしいものです。私も知りませんでしたが,このような団体があり,「アドバンス助産師」というのも公的な認証名だったのです。
 なので,特許庁の審判は,あまりに形式に過ぎたということになります。とは言え,審査ならまだしも,審判で,このように頭の固い判断をしたというのはちょっと解せないなあと思う所があります。まさか原告が主張の出し惜しみをしたわけではないと思いますので,審判段階でももっと柔軟に判断して良かったのではないかと思います。