2016年5月16日月曜日

侵害訴訟 著作権 平成27(ワ)28086  東京地裁 請求棄却

事件番号
事件名
 損害賠償等請求事件
裁判年月日
 平成28年4月21日
裁判所名
 東京地方裁判所第46部
裁判長裁判官 長谷川 浩 二
裁判官 萩原孝基
裁判官 中嶋邦人 
 
「 ⑴ 第1請求,第3請求,第4請求,第5請求及び第6請求につき,原告は,①原告著作権主張作品について,㋐原告が平成11年1月に被告に対して「なあ,今度のアルバムさあ。新宿で電車乗って,明大前にさしかかるところで,思いっきり寝れるように,子守歌系のやつ創って入れてよ」,「囁き系がいいや」と伝達したのに対して被告がこの伝達内容に依拠した結果,本件アルバムにおける本件アルバム名と同名の楽曲の曲順やテンポ等が上記伝達内容を反映したものとなっていること,㋑「誰かの願いが叶うころ」と題する歌の歌詞のうち「みんなに必要とされる君を癒せるたった一人になりたくて少し我慢し過ぎたな」の部分が被告宛の投稿を受け付けるウェブサイトに原告が投稿した文章に依拠した結果,ほぼ同一のものとなっていることから,原告が共同著作者の一人であり,②原告関与主張歌詞については被告による創作に関与したと主張する。
⑵ そこで判断するに,まず,上記①のうち㋐についてみると,本件の関係各証拠を総合しても原告が主張する伝達内容が被告に伝えられたとは認め難い上,仮にそのような事実が認められるとしても,ある作品の著作者であるというためには,その者が思想又は感情を創作的に表現したものであることを要する(著作権法2条1項1号,2号)。ところが,原告が主張する伝達内容は,楽曲のテンポその他の素材の内容及び配列の順序のいずれの点においても,創作のための着想にすぎず,具体的な表現であるということはできない
 また,上記㋑についてみると,原告がウェブサイトに上記歌詞と表現上符合するような投稿をしたことをうかがわせる証拠はない。
 さらに,上記②の主張についてみても,原告は具体的な関与経過について何ら主張立証しておらず,失当というほかない。
⑶ 以上によれば,第1請求,第3請求,第4請求,第5請求及び第6請求はいずれも理由がない。」

【コメント】
 一言で言えば,人気者は辛いよということです。
  
 事案の概要にはこうあります。 

本件は,原告が,宇多田ヒカル名義の編集著作物であるCDアルバム「First Love」(以下「本件アルバム」という。)及び「誰かの願いが叶うころ」と題する楽曲の歌詞(以下,これと本件アルバムを併せて「原告著作権主張作品」という。)の共同著作者であり,「B&C」,「はやとちり」及び「Wait&See~リスク~」と題する各楽曲の歌詞(以下「原告関与主張歌詞」と総称する。)の被告による創作に関与したが,被告が原告の氏名を表示せず,被告のみが著作者として利益を得ており,これにより原告が損害を被ったと主張して,・・・」 

 被告は宇多田ヒカルさん本人だと思われます。 
 
 ですので,この原告の主張のとおりだとすると,これは世間に知られていなかった創作秘話だ~すごい話だとなります。
 しかし,判旨のとおり,これは妄想の範囲で,仮に本当だとしても,その程度じゃ著作者にはならないとされております。

 ファンなのかアンチなのかわかりませんが,世の中には色んなことをやる人がいるということがわかります。