事件番号
事件名
商標権侵害行為差止等請求事件
裁判年月日
平成30年12月27日
裁判所名
東京地方裁判所民事第46部
裁判長裁判官 柴 田 義 明
裁判官 佐 藤 雅 浩
裁判官 大 下 良 仁
「 1 争点 (原告商標と被告標章は同一であるか)について
証拠(甲2の2~9,甲3,12)及び弁論の全趣旨によれば,原告標章及び被告標章は共に構成要素①ないし⑤(ただし,被告標章の構成要素④のシェードの直径は比が2.95:50:21:11である。)を有することが認められ,原告標章と被告標章はランプシェードの直径の比について若干の相違があるものの,標章全体を見た際に判別し得る相違点とはいえず,原告標章と被告標章の外観は同一であると認められる。また,原告商標及び被告標章はいずれも何らかの観念ないし称呼が生じるとはいえず,これらが相違するものともいえない。
そうすると,原告商標と被告標章は,外観が同一であり,観念及び称呼において区別されないと認められる。また,原告商標と被告標章につき,商品の出所を誤認混同するおそれがないとするような取引の実情等があるとは認められ ない。なお,被告は,被告商品を販売するに当たり,原告商品が正規品であることや被告商品がリジェネリック・リプロダクト品であることを強調し,原告商品に比べて低価格で販売していたと主張するが(第2,3(3)イの被告の主張等),それらの事情が上記取引の実情等に当たるとは認められない。
以上によれば,原告商標と被告標章は同一であると認められる。
証拠(甲2の2~9,甲3,12)及び弁論の全趣旨によれば,原告標章及び被告標章は共に構成要素①ないし⑤(ただし,被告標章の構成要素④のシェードの直径は比が2.95:50:21:11である。)を有することが認められ,原告標章と被告標章はランプシェードの直径の比について若干の相違があるものの,標章全体を見た際に判別し得る相違点とはいえず,原告標章と被告標章の外観は同一であると認められる。また,原告商標及び被告標章はいずれも何らかの観念ないし称呼が生じるとはいえず,これらが相違するものともいえない。
そうすると,原告商標と被告標章は,外観が同一であり,観念及び称呼において区別されないと認められる。また,原告商標と被告標章につき,商品の出所を誤認混同するおそれがないとするような取引の実情等があるとは認められ ない。なお,被告は,被告商品を販売するに当たり,原告商品が正規品であることや被告商品がリジェネリック・リプロダクト品であることを強調し,原告商品に比べて低価格で販売していたと主張するが(第2,3(3)イの被告の主張等),それらの事情が上記取引の実情等に当たるとは認められない。
以上によれば,原告商標と被告標章は同一であると認められる。
2 争点 (原告商標の指定商品である「ランプシェード」と被告商品は類似するか)について
対象となる商品が指定商品に類似しているか否かは,問題となる商品の製造業者,販売店ないし販売場所,需要者,用途等を総合考慮し,これらの商品に同一又は類似の商標が使用された場合に出所の混同を生ずるおそれがあるか否かによって判断すべきである。
被告商品は照明用器具であるところ,照明用器具は主にランプシェードと電球取付部によって構成され,ランプシェードにその他の部品が組み合わされた照明用器具が店舗やウェブサイト上で販売されるのであり,ランプシェードとその完成品である照明用器具は販売店ないし販売場所,需要者が重なるといえること,ランプシェードに照明用器具以外の用途はないことからすれば,ラン プシェードと照明用器具は商品としての関連性が極めて強く,これらの商品に同一又は類似の商標が使用された場合に出所の混同を生ずるおそれは高いといえる。
したがって,ランプシェードと照明用器具である被告商品は類似すると解するのが相当である。
これに対し,被告は,原告が原告商標の登録出願の過程において指定商品を「ランプシェード」と変更したことを挙げて,原告商標は照明用器具には及ばないと主張する。しかしながら,上記のとおり,対象となる商品が指定商品に類似しているか否かは,これらの商品に同一又は類似の商標が使用された場合に出所の混同を生ずるおそれがあるか否かによって判断すべきであり,被告の 主張は採用することができない。 」
対象となる商品が指定商品に類似しているか否かは,問題となる商品の製造業者,販売店ないし販売場所,需要者,用途等を総合考慮し,これらの商品に同一又は類似の商標が使用された場合に出所の混同を生ずるおそれがあるか否かによって判断すべきである。
被告商品は照明用器具であるところ,照明用器具は主にランプシェードと電球取付部によって構成され,ランプシェードにその他の部品が組み合わされた照明用器具が店舗やウェブサイト上で販売されるのであり,ランプシェードとその完成品である照明用器具は販売店ないし販売場所,需要者が重なるといえること,ランプシェードに照明用器具以外の用途はないことからすれば,ラン プシェードと照明用器具は商品としての関連性が極めて強く,これらの商品に同一又は類似の商標が使用された場合に出所の混同を生ずるおそれは高いといえる。
したがって,ランプシェードと照明用器具である被告商品は類似すると解するのが相当である。
これに対し,被告は,原告が原告商標の登録出願の過程において指定商品を「ランプシェード」と変更したことを挙げて,原告商標は照明用器具には及ばないと主張する。しかしながら,上記のとおり,対象となる商品が指定商品に類似しているか否かは,これらの商品に同一又は類似の商標が使用された場合に出所の混同を生ずるおそれがあるか否かによって判断すべきであり,被告の 主張は採用することができない。 」
【コメント】
11類「ランプシェード」を指定商品とする商標権(第5825191号 )についての商標権侵害訴訟の事件です。
ポールヘニングセンという超有名な照明器具に関するもので,知っている人は多いと思います。で,被告の方はジェネリック家具ということでこれを売っていたようなのですね。
他方,原告の方は,それは許せんということで,その販売が分かってから,このポールヘニングセンの立体商標を取得したというものです。
これが原告の標章ですね。まさに,立体商標!
被告の標章というか,被告商品はというと,こんな感じです。
ジェネリックとして売ってましたので,似ていて当たり前です。
で,今回これをなぜ取り上げたかというと,立体商標の侵害訴訟で,双方に代理人がついていたという稀有な例だったからです。
よく引かれる例は,エルメスのバーキン事件があります(東京地裁平成25年 ( ワ ) 第31446号)。しかし,これは被告が本人訴訟でした。なので,双方に代理人が就いた事例が待ち望まれていたわけですね。
で,漸くこの事件が現れました。しかし,やはり,被告側がダメですね。
皆さん,知りたかったし,戦いようがあるだろうことは,立体商標における商標的使用って何だろうって所だと思います。
ところが,この事件,商標的使用が全く論点に上がっていません。
あと,被告の使用後の商標登録出願なので,先使用権の主張もあり得る所でしょうが,これも主張がありません(さすがに,周知性がないと踏んだのかもしれませんが。)。
ですので,折角の双方代理人の事件にもかかわらず,実にしょうもない判決となっております。要するに,本人訴訟並みってことです。
被告は金を惜しんだか,地元の弁護士に依頼したようですが,知財は多少分かっている代理人に依頼しないと弁護士費用の無駄に終わりますね~♡