2018年12月27日木曜日

侵害訴訟 特許   平成29(ワ)18184  東京地裁 請求認容 追伸あり

事件名
 特許権侵害行為差止請求
裁判年月日
 平成30年12月21日
裁判所名
 東京地方裁判所民事第40部    
裁判長裁判官         佐      藤      達      文      
裁判官       三      井      大      有      
裁判官       今      野      智      紀 


「 (3) 争点1-3(被告製品が構成要件Eを充足するか)について
ア  構成要件Eは「前記2対の揺動部材の一方に,他方の揺動部材と組み合わせられたときに,該他方の揺動部材に係合する係合部が設けられている骨切術用開大器。」というものであるところ,原告は,ここにいう「係合」とは,2対の揺動部材が同時に開くように係り合うことを意味し,2対の揺動部材がそのように係り合うことを可能にする部分が「係合部」であるので,同構成要件の「係合部」は揺動部材の一方の一部であることを要しないと主張する。
    しかし,請求項1の「前記2対の揺動部材の一方に,…係合部が設けられている」との記載は,その一般的な意味に照らすと,「係合部」が揺動部材の一方の一部を構成していると解するのが自然であり,原告の主張するように,揺動部材とは別の部材が係合部を構成する場合まで含むと解するのは困難である。
    また,請求項3は「前記係合部が,前記他方の揺動部材の開閉方向の内側に係合する請求項1または請求項2に記載の骨切術用開大器」,請求項4は「前記2つの開閉機構のうち,前記係合部が設けられていない側の開閉機構が,ヒンジ部により連結された一方の揺動部材に設けられたネジ孔と,該ネジ孔に締結され,他方の揺動部材を開方向に押圧する押しネジとにより構成されている請求項3に記載の骨切術用開大器」とそれぞれ規定しており,これらの規定も,2対の揺動部材のうち,係合部が設けられている側と設けられていない側が区別可能であることが前提となっていると解するのが自然である
    この点について,原告は,請求項4は,係合部に「前記他方の揺動部材の開閉方向の内側に係合する」という限定を加えた請求項3を前提に,内側に係合部が設けられている側とそうでない側を区別する記載となっているにすぎないと主張するが,請求項1の前記文言に照らすと,請求項3及び4は,むしろ,請求項1の「係合部」が揺動部材の一方の一部を構成していることを前提とした上で,その構成を限定しているものと解するのが相当である。
    以上のとおり,本件特許に係る特許請求の範囲の記載によれば,本件発明の「係合部」は揺動部材の一方の一部を構成するものであると解される。
イ  次に,本件明細書等を参酌して,同明細書等における「部材」と「部」の意義についてみると,「部材」については,「揺動部材」の他に「コマ部材16」及び「ボルト部材17」が「部材」とされている(段落【0019】等,【図4】参照)のに対し,「部」については,「係合部」の他に,「凹部10」(段落【0015】等),「ヒンジ部6」(請求項1等)及び「楔形部8」(段落【0014】等)について「部」という語が用いられている。 
    このような記載によれば,本件明細書等において,「部材」という語は独立した部分を意味するものとして,「部」は部材の一部を構成するものとして用いられているということができ,係る用法に照らしても,「係合部」は一方の揺動部材の一部分を構成すると解することが相当である。
 また,本件明細書等に開示された実施例に関する記載である段落【00 15】には,「第2対の揺動部材3a,3bには,…幅方向外方に延びる突起(係合部)9が備えられている。また,第1対の揺動部材2a,2bには,…前記突起9を収容する凹部10が設けられている。」と記載され,第2対の揺動部材に設けられた突起9が「係合部」に当たると説明されている一方で,第1対の揺動部材に設けられた凹部10が「係合部」に当たるとの説明はされていない。こうした実施例の記載も,本件発明の「係合部」は揺動部材の一方の一部を構成するとの上記解釈と整合するものということができる。
 以上のとおり,本件明細書等に照らしても,本件発明の「係合部」は揺動部材の一方の一部を構成すると解するのが相当である。
ウ  これに対し,原告は,構成要件Eの「係合」は2対の揺動部材が同時に開くように係り合うことを意味し,2対の揺動部材がそのように係り合うことを可能にする部分が「係合部」であるので,「係合部」は揺動部材とは別の部材や普段は取り外して保管できる形態のものも含むと主張する。
    しかし,原告の「係合部」に関する解釈は,請求項1の「前記2対の揺動部材の一方に,…係合部が設けられている」との記載や請求項3及び4の記載と必ずしも整合するものではなく,前記判示に係る本件明細書等の記載に照らしても,採用し得ない。      
      エ  証拠(甲3)によれば,被告製品の角度調整器及び留め金は,各揺動部材とは独立した部材と認められ,一方の揺動部材の一部分として構成されているとは認められないので,被告製品は,構成要件Eを充足しない。」

「3  争点2(被告製品による均等侵害の成否)について
  (1) 特許請求の範囲に記載された構成に,相手方が製造等をする製品又は用いる方法(対象製品等)と異なる部分が存する場合であっても,①当該部分が特許発明の本質的部分ではなく(第1要件),②当該部分を対象製品等におけるものと置き換えても,特許発明の目的を達することができ,同一の作用効果を奏するものであって(第2要件),③そのように置き換えることに,当業者が,対象製品等の製造等の時点において容易に想到することができたものであり(第3要件),④対象製品等が,特許発明の特許出願時における 公知技術と同一又は当業者が当該出願時に容易に推考できたものではなく(第4要件),かつ,⑤対象製品等が特許発明の特許出願手続において特許請求の範囲から意識的に除外されたものに当たるなどの特段の事情もないとき(第5要件)は,当該対象製品等は,特許請求の範囲に記載された構成と均等なものとして,特許発明の技術的範囲に属するものと解するのが相当で ある(最高裁平成6年(オ)第1083号同10年2月24日第三小法廷判決・民集52巻1号113頁,最高裁平成28年(受)第1242号同29年3月24日第二小法廷判決・民集71巻3号359頁参照)。
      本件発明と被告製品との相違点は,本件発明では,係合部が一方の揺動部材の一部分を構成するものであるのに対し,被告製品では,揺動部材2から 揺動部材1に力を伝達する部分である角度調整器のピン及び留め金の突起部が揺動部材2とは別部材である点にあるところ,被告は,原告の均等侵害の主張に対し,第4要件を充足することは争わないものの,その余の要件の充足性を争うので,以下検討する。
(2) 第1要件(非本質的部分)について 
    ア  均等侵害が成立するための第1要件は,特許請求の範囲に記載された構成と対象製品に係る相違点が特許発明の本質的部分ではないことを要するとするものである。特許法が保護しようとする発明の実質的価値は,従来技術では達成し得なかった技術的課題の解決を実現するための,従来技術に見られない特有の技術的思想に基づく解決手段を,具体的な構成をもって社会に開示した点にあることに照らすと,特許発明における本質的部分とは,当該特許発明の特許請求の範囲の記載のうち,従来技術に見られない特有の技術的思想を構成する特徴的部分であると解すべきである。
    イ  そこで,本件発明と被告製品の相違点に係る構成が本件発明の本質的部分に該当するかどうかについて検討する。
(ア) 本件発明は,前記のとおり,一対の拡大器を用いて切込みを拡大した場合には,拡大器が移植物の挿入の妨げとなり,また,挿入時に拡大器を切込みから取り外した場合には,切込みが拡大された状態に維持されず,移植物の挿入が困難になるという課題を解決するため(本件明細書等の段落【0002】,【0003】),開閉可能な2対の揺動部材を着脱可能に組み合わせるとともに,揺動部材が組み合わされた状態で一方の部材が他方の部材に係合するための係合部を設けることにより,2対の揺動部材が同時に開くことを可能とし,2対の揺動部材で切込みを拡大した後には,一方の揺動部材により切込みの拡大を維持しつつ,閉じられた他方の揺動部材を取り外して,移植物の挿入可能なスペースを確保して移植物の挿入を容易にするものである(本件明細書等の段落 【0006】~【0008】,【0012】)。
 上記によれば,本件発明において従来技術に見られない特有の技術的思想を構成する特徴的部分は,開閉可能な2対の揺動部材を着脱可能に組み合わせるとともに,揺動部材が組み合わされた状態で一方の部材が他方の部材に係合するための係合部を設け,これにより,2対の揺動部材が同時に開くことを可能にするとともに,2対の揺動部材で切込みを拡大した後には,一方の揺動部材によりその拡大状態を維持しつつ,閉じられた他方の揺動部材を取り外して,移植物の挿入可能なスペースを確保して移植物の挿入を容易にする点にあるというべきである。
  (イ) 他方,被告製品は,①変形性膝関節症患者の変形した大腿骨又は脛骨 に形成された切込みに挿入され,当該切込みを拡大して移植物を挿入可能なスペースを形成する骨切術用開大器であり,②開閉可能な2対の揺動部材を着脱可能に組み合わせるとともに,各揺動部材の上側揺動部に角度調整器のピンを挿通させるためのピン用孔を設け,同各揺動部材の下側揺動部に留め金の突起部をはめ込むための開口部を設けるとの構成を備えることにより,③開口部に留め金の突起部がはめ込まれ,ピン 用孔に角度調整器の2本のピンを挿通された状態において2対の揺動部材が同時に開くことを可能にし,2対の揺動部材で切込みを拡大した後には,一方の揺動部材により切込みを拡大した状態に維持しつつ,閉じられた他方の揺動部材を取り外して,移植物の挿入可能なスペースを確保して移植物の挿入を容易にするものであると認められる。  
 被告製品の角度調整器のピン及び留め金の突起部は,2対の揺動部材が組み合わされた状態で一方の部材が他方の部材に係合するための係合部に相当すると認められ,これにより,2対の揺動部材が同時に開くことが可能になり,切込みを拡大した後には,その拡大状態を維持しつつ,その1対を取り出して切込みに移植物を挿入可能なスペースを確保することで移植物の挿入を容易にするものであると認められる。そうすると,被告製品は,本件発明とその特徴的な技術的思想を共有し,同様の効果を奏するものであるということができる。
  (ウ) 本件発明と被告製品との相違点は,前記のとおり,本件発明では,係合部が一方の揺動部材の一部分を構成するものであるのに対し,被告製品では,係合部に相当する角度調整器のピン及び留め金の突起部が揺動部材2とは別部材である点にあるところ,このような相違点は,係合部を揺動部材の一部として設けるか別部材にするかの相違にすぎず,本件発明の技術的思想を構成する特徴的部分には該当しないというべきである。 
      ウ  これに対し,被告は,本件意見書などを根拠として,本件発明の本質的部分は「揺動部材の一方に,他方に係合する係合部を備える点」にあると主張する。
          しかし,被告の指摘する本件意見書の記載部分は,「端部が回転可能に連結されることにより開閉可能に設けられた一対のジョーを備えた開創器アセンブリ」が開示された引用文献1記載の発明との対比において,本 件発明の構成を説明するものにすぎず,同記載を根拠として,本件発明の本質的部分が「揺動部材の一方に,他方に係合する係合部を備える点」にあるということはできない。
          発明の本質的部分は,特許請求の範囲及び明細書の記載に基づいて,特許発明の課題及び解決手段とその効果に照らして認定されるべきところ,本件発明の課題,解決手段及び効果を考慮すると,本件発明の本質的部分は,開閉可能な2対の揺動部材を着脱可能に組み合わせるとともに,揺動部材が組み合わされた状態で一方の部材が他方の部材に係合するための係合部を設けるとの構成にあると認められることは,前記判示のとおりである。 
      エ  以上のとおり,本件発明と被告製品の相違点は,本件発明の本質的部分ではないので,被告製品は,第1要件を充足する。
  (3) 第2要件(置換可能性)について
ア  第2要件は,特許発明のうち対象製品と相違する部分について対象製品等における該当部分と置き換えても,特許発明の目的を達することができ,同一の作用効果を奏することを要するというものである。上記(2)イ(イ)のとおり,被告製品の角度調整器のピンと留め金の突起部は,2対の揺動部材が組み合わされた状態で一方の部材が他方の部材に係合するための係合部に相当し,本件発明のように,揺動部材の一部に係合部を設ける構成を,被告製品の角度調整器のピンと留め金の突起部に置き換えたとしても同様の効果を奏すると認められる。
 イ  これに対し,被告は,揺動部材を閉じる際に,一方の揺動部材を閉じていくと,他方の揺動部材との係合が自動的に解除されるとの点も本件発明の作用効果に含まれるとの解釈を前提に,被告製品の場合,一方の揺動部材を閉じるだけでは,他方の揺動部材との係合は自動的に解除されないことから,本件発明と同一の作用効果を奏さないと主張する。 
 しかし,本件明細書等に記載された本件発明の効果は,「本発明によれば,切込みを拡大した状態に維持しつつ,移植物の挿入を容易にすることができる」(段落【0012】)というものである。このような効果は,2対の揺動部材で切込みを拡大した後に1対の揺動部材を取り外すことにより実現することが可能であり,係合の解除が自動的に行われることは本件発明の効果に含まれないというべきである。
    ウ  したがって,被告製品は第2要件を充足する。   
・・・
 (5) 第5要件(特段の事情)について
      ア  第5要件に関し,被告は,構成要件Eは本件補正によって追加されたものであるところ,本件拒絶理由通知に対する本件意見書における「本発明は,2組の揺動部材を備える点,および,揺動部材の一方に,他方に係合する係合部を備える点において,引用文献1に記載された発明…と相違しています。」との記載によれば,原告は,被告製品のように係合部を別部材とする構成を特許発明の対象から意識的に除外したと理解することができるから,均等侵害は成立しないと主張する。
  しかし,本件意見書には,「引用文献1には,端部が回転可能に連結されることにより開閉可能に設けられた一対のジョーを備えた開創器アセンブリが開示されています。」,「このような構成(判決注:本件発明に係る構成)によれば,2組の揺動部材を同時に開かせることにより,骨に形成した切り込みの拡大作業を容易にし,また,切り込みの切断面に局所的に過大な押圧力が作用することを防ぐことができる」,「2つの開創器アセンブリを単に着脱可能に組み合わせただけでは本発明の構成を導く ことはできません。」「引用発明1には,切り込みの切断面に作用する押圧力を低減するという課題,および,2つの開創器アセンブリを一体で開動作させるという係合部の作用に対する示唆がありません」などの記載がある。
  上記記載によれば,本件意見書の主旨は,特許庁審査官に対し,引用例1が一対の揺動部材を開示していることを指摘し,それに対し,本件発明は,開閉可能な2対の揺動部材を組み合わせ,一方の揺動部材を他方の揺動部材に係合するための係合部を設けることにより,両揺動部材が同時に開くことを可能にするものであることを説明する点にあるというべきである。そして,同意見書には,係合部の構成,すなわち,係合部を揺動部材の一部として構成するか,揺動部材とは別の部材により構成をするかを意識又は示唆する記載は存在しない。
          そうすると,被告の指摘する「2組の揺動部材を備える点,および,揺動部材の一方に,他方に係合する係合部を備える」との記載は,上記説明の文脈において本件発明の構成を説明したものにすぎないというべきであり,同記載をもって,同意見書の提出と同時にされた本件補正により構成要件Eが追加された際に,原告が,係合部を揺動部材とは別の部材とする構成を特許請求の範囲から意識的に除外したと認めることはできない。
ウ  したがって,被告製品は第5要件を充足する。 」

【コメント】
 大手の企業同士の,発明の名称「骨切術用開大器」という特許第4736091号の特許権の侵害訴訟の事件です。

 着目するところは,均等論の対象が補正で加わった所だったとしても,均等を認めたという所でしょうか。

 クレームからです。
【請求項1】
A  変形性膝関節症患者の変形した大腿骨または脛骨に形成された切込みに挿入され,該切込みを拡大して移植物を挿入可能なスペースを形成する骨切術用開大器であって, 
B  先端に配置されたヒンジ部により相対的に揺動可能に連結された2対の揺動部材と,
C  これら2対の揺動部材をそれぞれヒンジ部の軸線回りに開閉させる2つの開閉機構とを備え,
D  前記2対の揺動部材が,前記ヒンジ部の軸線方向に着脱可能に組み合わ せられており,
E  前記2対の揺動部材の一方に,他方の揺動部材と組み合わせられたときに,該他方の揺動部材に係合する係合部が設けられている骨切術用開大器
。」

 何だか想像しただけでも痛そうな感じの器具ですが,図を見た方がいいでしょう。
 
 
  これが明細書の図です。横から見た所でしょうか。
 左の尖った所を骨の隙間に差し込み,右側にあるネジをぐるぐる回して右側が開いていく(ヒンジは左端にあります。)というものです。
 ほんで,こうして開いた骨の隙間に,移植するものを入れるわけですね。

  
  で,従来技術に加えて何がいいかというとこれ,一対,つまり同じようなのが2個並列しているのです。この図3は上から見た図なのですが,このとおり,2個あります。

 それが,図3の上の部材にオス部みたいな突起9があり,これをメス部の凹部10に差し込み,一体的に作動させるわけです。
 一方を開くともう一方も開く~ って感じです。

 被告製品の方です。
  
  これは被告製品の斜め上からの写真と考えた方がいいですね。やはり2個同じようなやつが並列しています。

 ただし,その両者をつなげる部材は,角度調整器のピンと留め金なのですね。本体である揺動部材の一部じゃなく,別の部材から成り立っています。
 ですので,文言侵害はNGということになりました。

 で,均等論ですが,第一要件はクリアです。 
 規範は,例によって,マキサカルシトール大合議の判決です。ま,広く抽象的に本質的部分を認め,そこが共通でしょ,だから違う所は微差微差~という論理です。

 さて,問題なのは他の要件です。
 個人的には,第二要件が本当かなあと思います。
 本件の特許発明の効果には,係合も自動的に解除できるという効果も含まれるのではないかなあと思いますけどね。
 他方,ピンや留め具で係合していた被告製品は,一方を閉じるともう一方も閉じることになり,係合は自動的に解除しません。
 そうすると,一方を取り出すのが面倒→移植物の挿入を容易にすることができない!ってなりそうですけど・・・。
 ま,納得できないのはここだけかなと思います。

 で,先例的意義があるのは,ここよりも第五要件の所だとは思います。
 ただ,従前,補正しすぎた場合に,補正のポイントとは若干ずれた部分を均等で主張するのも憚れるのかどうなのか,が議論の的になっていました。
 主流としては,そういうのもやはりダメなんじゃないの,という所だったと思います。

 しかし,第五要件って信義則発のものです。つまり,いっぺん言ったことと違う~ことは言っちゃダメっていうものです。 
 ケースによっては,補正のポイントとは若干ずれた部分を均等で主張するのが,いっぺん言ったことには当たらない場合も数多いと思います。ですので,そのような場合,第五要件では蹴れないと思っていたのです。

 ですので,今回,このような判示が出たことで,補正した部分を均等主張する場合もためらわずにやっていいのではないかと思います。勿論,明らかに補正のポイントそのものじゃダメですけどね(今回ならばそもそも係合部のない器具だとか)。

【追伸】
 控訴審判決が出ました(知財高裁平成31(ネ)10005号,令和元年7月24日判決)。
 この判決では上記構成要件Eの充足性を認めなかった所,なんと認めました。
まず,「設けられている」との文言の一般的な意味は,「そなえてこしらえる。設置する。しつらえる。」というものにすぎず(広辞苑・甲13),当該文言自体からは,「係合部」が一方の揺動部材と一体であるのか,別の部品であるのかを読み取ることはできない。前記の本件発明の技術的意義に照らしても,「係合部」が一方の揺動部材と一体のものでなければその機能を果たせないとはいえず,別の部品によって係合部を設けることを除くべき根拠は見当たらない。そうすると,係合部が揺動部材に「設けられている」という構成が,係合部が揺動部材の一部を構成しているものに限定されるとはいえない
 という判示があります。
 
 ですので,均等論を使うまでもなくOKということなのですね。

 しかし,地裁の判決は,均等論の第5要件の面白い判示があったのに,知財高裁ではその判断がなくなってしまいました。
 何となく,面倒だから, もう文言侵害でいいんじゃないの~そんな感じさえしますね。

 

 

2018年12月26日水曜日

不正競争  平成27(ワ)16423  東京地裁 請求一部認容

事件番号
事件名
裁判年月日
 平成30年11月29日
裁判所名
 東京地方裁判所民事第46部      
裁判長裁判官  柴 田 義 明         
裁判官  佐 藤 雅 浩              
裁判官  大 下 良 仁 

「 (1)本件鑑定で用いられたソースコードの分析の手法及びその鑑定結果の概要は以下のとおりである。(鑑定の結果〔4頁ないし12頁,17頁,24頁ないし27頁〕)
      ア  本件鑑定においては,原告の意見等も踏まえ,本件ソースコードのうち114種類のソースファイルが鑑定対象とされ,本件ソースコードのうち一つまたは複数のソースコードに対して被告ソフトウェアの複数のソースコードを比較すべき場合があることから,300組のソースコードのペアについて,一致点の有無等が判断された。  
イ  前記の300組のソースコードのペアについて,類似性や共通性を判断す るため,8種類のコードクローン検出(コードクローンとはソースコード中に相互に一致又は類似したコード断片をいう。)を実施した。
 8種類のコードクローン検出の方法の概要は,①識別子とリテラルのオーバーラップ係数を用いて名前の包含度合いを確認する,②識別子とリテラルのコサイン係数を用いて名前の一致度合いを確認する,③識別子とリテラルの部分文字列のオーバーラップ係数を用いて名前の文字並びの包含度合いを確認する,④識別子とリテラルの部分文字列のコサイン係数を用いて名前の文字並びの一致度合いを確認する,⑤コメントの部分文字列のオーバーラップ係数を用いてコメントの文字並びの包含度合いを確認する,⑥コメントの文字列のコサイン係数を用いてコメントの文字並びの一致度合いを確認する,⑦キーワードや記号の系列にSmith-Watermanアルゴリズムを適用してソースコードの文字並びの一致度合いを確認する,⑧前記アルゴリズムをソースコードの長さで正規化してソースコードの構造の一致度合いを確認するというものであった。
      ウ  前記イの8種類のコードクローン検出を実施し,1種類以上の方法で類似性についての一定の閾値を超えたものを要注意コード・ペアとして取り扱っ た。この要注意コード・ペアは,300組中57組存在した。
      エ  前記ウの結果を参考にしつつ,鑑定人が300組全てのソースコードのペアについて目視確認を行い,共通性や類似性が疑われるソースコードのペアを選んだ。その結果,原告ソフトウェアのソースファイルと被告ソフトウェアのソースファイルには,①「GlobalSettings.h」と「S ourceDefault.h」(順に,原告ソフトウェアのソースファイルと被告ソフトウェアのソースファイル。以下,同じ。),②「GlobalSettings.cpp」と「SourceDefault.cpp」,③「SSTDB.cpp」と「Mdb.cpp」,④「AutoLocker.h」と「SafeLocker.h」,⑤「AutoLocker.cpp」と「SafeLocker.cpp」につき,共通性や類似性が疑われる箇所が発見された(類似箇所1ないし5)。 
・・・
 カ  鑑定人は,類似箇所1ないし4について原告と被告のソースコードが不自然に類似・共通する箇所が存在すると判断し,類似箇所5については原告と被告のソースコードに類似性や共通性が見られるがその理由が不自然であ るとまではいえないと判断した。
 また,類似箇所1ないし5のほかに,鑑定対象とされた300組のソースコードのペアの中に共通性や類似性が疑われる箇所は発見されなかった。
      キ  鑑定人は,類似箇所1ないし5について,原告ソフトウェアを参照せずに被告らが独自に作成することが可能であるか否かにつき,以下のとおり判断した。 
   (ア)類似箇所1について
 原告ソフトウェアのソースコードの一部がサンプルで公開されていたなどといった外部要因がないことを前提とすれば,原告ソフトウェアと被告ソフトウェアの開発者は必ず同一人物である。被告ソフトウェアを開発する際に原告ソフトウェアを参照した可能性が高いが,参照せずに開発す ることが全く不可能であるとまでは言い切れない。
 もっとも,原告ソフトウェアと被告ソフトウェアの開発者が同一人物であり,その人物の記憶を手掛かりとしても,原告ソフトウェアのソースコードを参照せずに類似箇所1で見られるような細かい特徴まで一致させることは難しいと考えることが自然である。 
・・・
 2  争点1(本件ソースコード等についての被告らによる使用等の有無)について
  (1)前記1(1)によれば,本件ソースコードについて,鑑定対象とされた300組のソースコードのペアにおいて,共通性や類似性が疑われる箇所は類似箇所1ないし5のみであったこと,本件鑑定の手法に不合理な部分は認められないことが認められ,また,本件ソースコードについて被告らによる使用等の根拠として原告が主張する事実は,そもそも被告らによる使用等を推認させるとはいえないとの意見を鑑定人が述べたものがあるほか(前記1(2)イ,ウ,ク,ケ),その内容から,いずれも被告らによる本件ソースコードの使用等を直接裏付け るものとはいえない。更に,後記(5)ウのとおり,Template.mdbに関する原告の主張は採用することはできない。
 これらを総合すれば,鑑定において類似箇所として指摘された部分である類似箇所1ないし5は別として,本件ソースコード全体やTemplate.mdbに関して原告が主張する情報,前記類似箇所以外の本件ソースコードの一 部について,被告らによる使用等はなかったと認めるのが相当である。 
(2)類似箇所1ないし3について
 前記1(1)によれば,類似箇所1ないし3について,本件ソースコードの被告らによる使用等があったと認められる。そして,Bが,原告ソフトウェアの開発に携わった者の一人であり,被告ソフトウェアについて実際の開発,制作を担当したこと(前提事実 )及び弁論の全趣旨から,Bは,被告ソフトウェア の開発の際,本件ソースコードの類似箇所1ないし3に対応する部分を使用して被告ソフトウェアを制作等し,もって,類似箇所1ないし3を被告フェイスに対して開示し,また,被告フェイスにおいてそれを取得して使用したと認められる。 
(3)類似箇所4について      
    前記1(1)よれば,類似箇所4については,被告ソフトウェアのデータベースで用いられている52件のフィールドの名前が原告ソフトウェアのデータベースで用いられているものと同じであると指摘されており,被告らもTemplate.mdbの複製について認めていることに照らせば,類似箇所4については,類似箇所1ないし3についてと同様の理由から,Bから被告フェイスに対する開示及び被告フェイスによるその使用があったと認められる。   
・・・
 (6)小括
        以上によれば,本件ソースコード等のうち,類似箇所1ないし4について,Bの被告フェイスに対する開示及び被告フェイスによるその使用等があったと認められるが,その余の部分についての被告らによる使用等は認められない。 
・・・
 これらを考慮すると,被告らの不正競争行為が被告ソフトウェアの利用者に関係する機能を同種のソフトウェアに関する機能と大きく異なるものにしたとは直ちにはいえず,被告ソフトウェアの売上げは,基本的には,被告ソフトウェアの不正競争行為ではない行為により作成された機能に基づく商品としての価値や被告フェイスの営業努力等によって実現されていたとするのが相当である。
 以上によれば,被告ソフトウェアの譲渡数量のうちの相当程度の数量の原告ソフトウェアについて,原告が販売することができなかった事情があると認めるのが相当であり,以上のほか,本件にあらわれた一切の事情を総合的に勘案すれば前記ウの推定は95パーセントの限度で覆滅し,被告フェイス及びBによる不正競争によって原告に生じた損害は,前記ウ記載の損害の5パーセントであると認めるのが相当である。また,弁護士費用としては,10万円をもって相当と認める。 」

【コメント】
 不正競争の事件ですが,経緯を知る者にとっては,執念の勝利と言えるでしょうね。

 概要としては,日本語の字幕ソフトウェアであるSSTG1を開発した原告さんが,「Babel」という同種のソフトウェアを製造・販売していた被告に対し差止め等を求めて提訴した事件です。
 ま,原告のソフトウェアを開発していた人たちが被告の方に移ったという経緯もあるようで,しかも被告のソフトウェアの方がかなり廉価で売られたということもあり,原告としては怒り心頭に達したのでしょう。
 しかし,実は訴訟は2回めです。
 一回目は,ソフトウェアの著作権で提訴したのですが,棄却されました。知財高裁でも請求棄却でした。
 前者の一審が東京地裁平成 25 年 (ワ) 第18110 号(平成27年6月25日判決)です。
 後者の控訴審が知財高裁平成 2 7 年 ( ネ ) 第 10102 号(平成 2 8 年 3 月 2 3 日判決)です(このブログでも取り上げました。)。 

 人の動きは当然原告も把握していただろうから,上記一審の前に証拠保全をやったようなのですが,このときは,営業秘密だからと言って記録することが許されなかったようです。しかし,原告がこっそり記録削除したはずのものを復活させたりなどのこともあったようです。

 そういうこともあったためかわかりませんが,著作権の争いでは原告では負けました。

 ですが,今回,営業秘密~ということに衣替えさせ,そして,鑑定に持ち込んだことで勝利したのでしょうね。

 どうやって鑑定にまで持ち込めたのかはわかりませんが,そこで類似の部分がありましたので,それによって営業秘密の無断使用等まで一気呵成だったと言えると思います。

 ただし,お金関係はほぼ負けです。被告オリジナルの部分が多い~ということですね。
 
 なかなかおもしろい事例だと思います。

2018年12月10日月曜日

侵害訴訟 特許  平成29(ネ)10055  知財高裁 控訴認容(請求棄却)


事件名
 特許権侵害差止請求控訴事件
裁判年月日
 平成30年11月26日
裁判所名
 知的財産高等裁判所第2部                      
裁判長裁判官          森   義 之                                  
裁判官       森 岡 礼 子                                  
裁判官        古 庄   研  
 
「  (3)  争点2-3-2(新規性欠如)について
      ア(ア)  前記(2)アのとおり,控訴人らは,被控訴人外1名を原告,控訴人ら外3名を被告とする商標権侵害差止等請求事件において,当該事件の原告訴訟代理人弁護士G及び同Hが平成19年5月22日に東京地方裁判所に証拠として提出した乙69の4及び証拠説明書として提出した乙69の5を,その頃受領していること,乙69の5には,乙69の4の説明として,「被告シンワのチラシ(2006年用)(写し)」,作成日「2006(平成18)年」,作成者「(有)シンワ」,立証趣旨「被告シンワが原告むつ家電得意先へ営業した事実を立証する。」旨記載されていることが認められるところ,乙69の4には,「2006年販売促進キャンペーン」,「キャンペーン期間  ・予約5月末まで  ・納品5月20日~9月末」,「有限会社シンワ」,「つりピンロールバラ色  抜落防止対策品」,「サンプル価格」,「早期出荷用グリーンピン  特別感謝価格48000円」などの記載があり,複数の種類の「つりピン」が添付されており,その中には,5本のピンが中央付近においてそれぞれハの字型の1対の突起を有するとともに,そのハの字型の間の部分を2本の直線状の部分が連通する形で連結された形状のもの(つりピンロールバラ色と記載された部分の直近下に写し出されているもの)があることが認められる。
  上記「つりピン」の形状は,上記事件の上記原告訴訟代理人が,平成19年5月22日に,乙69の4とともに,上記商標権侵害差止等請求事件において,東京地方裁判所に証拠として提出した乙69の3に「つりピンロール(バラ色)抜落防止対策品」として記載されているピンク色の「つりピン」と,その形状が一致していると認められる。乙69の3は,乙69の4と同じ証拠説明書による説明を付して,提出されたものであり,「2006年度  取扱いピンサンプル一覧」,「有限会社シンワ」,「早期出荷用」などの記載がある。
  また,乙69の4は,上記事件の上記原告訴訟代理人が,平成19年5月22日に,乙69の4とともに,「被告シンワのチラシ(2005年用)(写し)」,作成日「2005(平成17)年」,作成者「(有)シンワ」,立証趣旨「被告シンワが原告むつ家電得意先へ営業した事実を立証する。」旨の証拠説明書による説明を付して,上記商標権侵害差止等請求事件において,東京地方裁判所に提出した乙69の1と,レイアウトが類似しているところ,乙69の1には,「2005年開業キャンペーン  下記価格は2005年4月25日現在の価格(税込)です。」,「有限会社シンワ」,「当社では売れ残り品は販売しておりません。お客様からの注文後製造いたします。」などの記載がある。
  以上によると,乙69の3及び4は,いずれも,控訴人シンワが,被控訴人の顧客であった者に交付したものを,平成19年5月22日までに,被控訴人が入手し,控訴人シンワらが,被控訴人の得意先へ営業した事実を裏付ける証拠であるとして,上記事件において,提出したものであると認められる。
  そして,乙69の4の上記記載内容,特に「販売促進キャンペーン」,「納品5月20日~」と記載されていることからすると,乙69の4と同じ書面が,平成18年5月20日以前に,控訴人シンワにより,ホタテ養殖業者等の相当数の見込み客に配布されていたことを推認することができる。
      (イ)  また,前記(ア)の認定事実及び弁論の全趣旨によると,乙69の4に記載されている,5本の「つりピン」が中央付近においてそれぞれハの字型の1対の突起を有するとともに,そのハの字型の間の部分を2本の直線状の部分が連通する形で連結された形状のものは,控訴人シンワにより見込み客に配布されていた前記(ア)の乙69の4と同じ書面にも添付されていたと認められる。
(ウ)  前記の5本の「つりピン」が中央付近においてそれぞれハの字型の1対の突起を有するとともに,そのハの字型の間の部分を2本の直線状の部分が連通する形で連結された形状のものの形状は,両端部において折り返した部分の端部の形状が,乙69の4では,下から上へ曲線を描いて跳ね上がっているのに対し,本件明細書等の図8(a)では,釣り針状に下方に曲がっている以外は,本件明細書の図8(a)記載の形状と一致している。
  そして,本件明細書等の図8(a)は,本件各発明に係るロール状連続貝係止具の実施の形態として記載されたものである。
(エ)  そうすると,前記(ア)及び(イ)の5本の「つりピン」が中央付近においてそれぞれハの字型の1対の突起を有するとともに,そのハの字型の間の部分を2本の直線が連通する形で連結された形状のものは,形状については,本件発明1の構成要件1A~Hにある形状をすべて充足する。そして,証拠(乙69の1~5)及び弁論の全趣旨によると,その材質は,樹脂であり,「つりピンロール」とされていることから,ロール状に巻き取られるものであり,その連結材は,ロール状に巻き取られることが可能な可撓性を備えているものと認められる。したがって,乙69の4に記載されている「つりピン」は,本件発明1の構成要件1A~Hを,すべて充足すると認められる。
  また,上記の「つりピン」は,ロープ止め突起の先端と連結部材とが極めて近接した位置にあり,2本のロープ止め突起の先端の間隔よりも一定程度狭い縦ロープとの関係では,2本の可撓性連結材の間隔が,貝係止具が差し込まれる縦ロープの直径よりも広くなるから,本件発明2の構成要件である2Aも充足すると認められる。
 さらに,上記の「つりピン」が,ロール状に巻き取られるものであることは,上記のとおりであるから,上記の「つりピン」は,本件発明3の構成要件である3A及び3Bも充足すると認められる。
      (オ)  そうすると,本件発明1~3は,本件特許が出願されたとみなされる日である平成18年5月24日よりも前に日本国内において公然知られた発明であったということができ,新規性を欠き,特許を受けることができない。」
 
【コメント】
 養殖用の貝の係止具の特許(特許第4802252号 )に関する特許侵害訴訟の控訴審の事件です。  
 一審は,ここでも紹介しました。ですので,クレームや事件の概要はそちらを見てください。
 
 一審では,構成要件該当性があり,無効でないとして,請求を認容しました。ところが,この控訴審では,逆転で請求棄却です。
 
 ポイントは刊行物記載の発明・・・ではなく,公然知られた発明との同一性(つまり新規性なし)という,かなり稀有な事例です。
 
 さて,この公然知られた発明は,チラシに載っていた発明です。
 この特許の事件以前に,平成19年(ワ)第12683号 という商標の事件があり(和解で終わったため,検索できません。),本件の被告の一人であるシンワの配ったそのチラシを本件の原告(むつ家電特機)がその商標の訴訟で提出していたということです。
 そして,そのチラシには,「キャンペーン期間」「予約5月末まで」,「納品」「5月20日~9月末」と記載があったらしく,そうすると,平成18年5月20日には,公然知られた発明ということになったようです。

 他方,本件の特許の出願日は,分割出願のため,原出願日が平成18年5月24日です。いやあ,ほんの4日ですか~。

 同業他社間でのこういう状況だと,冒認出願だったということも十分考えられますけど,日数のギリギリ具合からすると,偶然の可能性が高そうです。チラシ掲載で発明が把握できるくらいのものですから。
 
 あと,気になるのは,原審の審理ですね。
平成29年2月28日頃,控訴人進和化学工業の取締役であったFは,同社のピンの開発に関する未整理の資料の中に,上記陳述書が紛れていることを発見した。  
 控訴人ら代理人は,直ぐにその連絡を受け,上記陳述書の送付を受けた。当時, 本件は,原審の弁論終結後の和解協議中であった。控訴人ら代理人は,上記陳述書 が,前訴和解の検討過程や,前訴和解に企図した解決方法(ロールピンを含めた全種類のピンを対象に異議を唱えられないよう区別がつくようにし,販売活動に専念すること)を示す重要な証拠でもあったことから,平成29年3月2日付け第6準備書面(弁論再開申立補充書2)に,上記陳述書を添付して弁論の再開を求めたが,原審裁判所は弁論の再開を認めなかった。
 原審は,争点確認等を行わないまま,予告もなく突然かつ強引に弁論準備手続を終結し,即時に口頭弁論期日に移行して口頭弁論を終結したものであり,上記のとおり,弁論再開を申請しても受け入れなかったことから,審理不尽である。
 
 これは控訴人らの主張ですが, かなり不満のあったことが分かります。
 
 ま,裁判における裁判官はヒトラーやスターリンも真っ青の独裁者ですので,裁判所がこうと決めたら利用者としてはどうしようもありません。

 今回は,知財高裁がきちんと聞く耳を持ってくれたから良いですが,いつも聞いてくれるとは限りません。最高裁がこんなことを聞いてくれるわけがありませんから,本来勝つべき所が負けているということは実際多いのかもしれませんね。