事件番号
事件名
特許権侵害差止請求控訴事件
裁判年月日
平成29年7月11日
裁判所名
知的財産高等裁判所第4部
裁判長裁判官 髙 部 眞 規 子
裁判官 古 河 謙 一
裁判官 関 根 澄 子
「・・・このような本件発明の目的・効果に鑑みると,本件発明の「緩衝剤」は,乙1発明において生成される上記不純物の量に比して少ない量の不純物しか生成されないように作用するものでなければならない。しかしながら,オキサリプラチン水溶液中のオキサリプラチンの分解により平衡状態に達するまで自然に生成される解離シュウ酸は,乙1発明において当然に存在するものであり,このような解離シュウ酸のみでは,乙1発明に比して少ない量の不純物しか生成し得ないように作用することは,通常考え難いことといえる。
仮に,本件発明の「緩衝剤」に解離シュウ酸を含むと解すると,乙1発明と同様の組成物が本件発明に含まれることになり,上記の本件発明の目的・効果と整合的に解釈することができないことになる。
オ 以上のとおり,本件明細書における「緩衝剤」の定義及び実施例についての記載並びに本件発明の目的・効果との関係に照らし,本件発明における「緩衝剤」としての「シュウ酸」は,解離シュウ酸を含むものではなく,添加シュウ酸に限られると解すべきである。 」
仮に,本件発明の「緩衝剤」に解離シュウ酸を含むと解すると,乙1発明と同様の組成物が本件発明に含まれることになり,上記の本件発明の目的・効果と整合的に解釈することができないことになる。
オ 以上のとおり,本件明細書における「緩衝剤」の定義及び実施例についての記載並びに本件発明の目的・効果との関係に照らし,本件発明における「緩衝剤」としての「シュウ酸」は,解離シュウ酸を含むものではなく,添加シュウ酸に限られると解すべきである。 」
【コメント】
例のオキサリプラチンの特許(特許第4430229号)の事件,アグレッシブな原告さんのやつです。
クレームももういいでしょう。このブログの過去の記事(http://chizaihanketu.blogspot.jp/2016/12/2729001.html)を見てください。
また,規範もあてはめも,原審引き継ぎ~という感じですから,これももういいでしょう。
ということで,またまとめておきましょう。
あと何件この関係事件を紹介するのだろうなあ。
1 平成27(ワ)12416 46部 被告1 差し止めのみ 請求認容 原告寄りクレーム解釈
2 平成27(ワ)28849 29部 被告12 差し止めのみ 請求棄却 被告寄りクレーム解釈
3 平成28(ワ)15355 29部 被告1 賠償請求のみ 請求棄却 被告寄りクレーム解釈
4 平成27(ワ)28468 40部 被告2 差し止めのみ 請求棄却 被告寄りクレーム解釈
5 平成27(ワ)12415 40部 被告3 差し止めのみ 請求棄却 被告寄りクレーム解釈
6 平成27(ワ)28699等 40部 被告4~6 差し止めのみ 請求棄却 被告寄りクレーム解釈
7 平成27(ワ)29001 47部 被告7 差し止めのみ 請求棄却 被告寄りクレーム解釈
8 平成27(ワ)29158 40部 被告8 差し止めのみ 請求棄却 被告寄りクレーム解釈
9 平成28(ネ)10031 知財高裁3部 被告1 請求棄却 被告寄りクレーム解釈
1の控訴審
10 平成27(ワ)28467 46部 被告9 差し止めのみ 請求棄却 進歩性なし
11 平成27(ワ)28698 46部 被告10 差し止めのみ 請求棄却 進歩性なし
12 平成27(ワ)29159 46部 被告11 差し止めのみ 請求棄却 進歩性なし
13 平成27(行ケ)10167 知財高裁3部 不成立審決の取消し
14 平成28(ネ)10103 知財高裁2部 被告12 控訴棄却 被告寄りクレーム解釈
2の控訴審
15 平成28(ネ)10111 知財高裁2部 被告2 控訴棄却 被告寄りクレーム解釈
4の控訴審
16 平成29(ネ)10008 知財高裁2部 被告8 控訴棄却 被告寄りクレーム解釈
8の控訴審
17 平成29(ネ)10010 知財高裁2部 被告4~6 控訴棄却 被告寄りクレーム解釈
6の控訴審
18 平成29(ネ)10013 知財高裁4部 被告7 控訴棄却 被告寄りクレーム解釈
7の控訴審